にこいち(しゃちょ〜)

ロボットにとって、各関節の出力トルクというのは非常に重要な位置を占めます。トルクはτ=m x Lで記述できます(m:物体の質量、L:重心までの距離、下図参照)。しかしトルクは選定するモータで決まってしまうので、ロボットの大きさなどから自由自在に決められるというものではありません。方法としては、手先の重量mを軽くするか、Lを短くするか(物理的な距離は短くしなくても、重心位置を移動させることでもOK)、もしくは動かす制御則を巧く構築して、トルクの要らない動かし方にするか。の選択肢しかありません。それでも駄目な場合は。。。
自動車で、日産のシルビアと180(ワンエイティ)の車体を「にこいち」にして"シルエイティ"を作っている人がいますが、昔、我々もモータを「にこいち」にしたことがあります。最近ROBO-ONEなどで、膝関節の回転速度を稼ぐために膝部に2個のモータを使っているロボットがありますが、これらは、関節に対してモータが直列に入っており、結局は関節が2つあるような感じです。我々がやったのは、モータを並列に入れる!これは、駄目でした。。。特に我々は、減速した後で、2個のモータの出力を1箇所に入れてしまったので、モータと減速機の特性のバラツキで、2つのモータの出力回転数に差が出て、結局、両者が干渉してしまい、2倍のトルクは出せませんでした。というか、下手をしたら1個の方が良かった?静トルクは2倍ぐらいになってるかもしれませんけど。。。
もしこのような手を使うなら、もう少しバラツキの少ない所、例えば、減速機の付いていないモータの出力軸段で「にこいち」にして、その後、減速機で減速すれば、もう少しまともな結果が得られたかな?