認知症(しゃちょ〜)

先日、国立障害者リハビリテーションセンター研究所を視察しました。弊社も色々と福祉機器、医療機器の開発のお手伝いをしていて、何かお役に立てないかと思い。。。
で、「認知症」という病名(?)や、大体の症状は知っているのですが、認知症対策機器を見て、認知症というものがなんとなく分かってきました。

・「水道の蛇口:締め忘れがない構造に」
これは、素人の私が見ても納得な機器です。外出中に「家の鍵、閉めたっけ?」とか。

・「ピルケース:曜日、朝昼晩に区分けされたケース」
これも、素人の私が見ても納得な機器です。自分も薬を服用している時、時々「さっき、薬飲んだっけ?」と忘れますし。

・「時計:それも日付、曜日が表示されているバックライト付のもの、昼なのか夜なのかを表示してあるとなお良い」
認知症患者は、昼夜の区別がつかず、夜に近所に訪問してしまったりといったことがあるためとのこと。昼夜の判断が付かない患者に、昼とか夜を知らせても効果ないんじゃないの?と疑問に思いましたが、そこは「訓練」だそうです。つまり「昼夜の区別が付かない」→「昼の文字:OK、夜の文字:NG」を再度覚えさせるといった、別の次元で訓練するそうです。その時点で「昼」とか「夜」の概念は捨てるようです。

・「xxまでの残り時間表示(LEDのバーグラフ)」
「xxをやって何時間が過ぎた。」というよりは、「xxまであと何時間。」というものを視覚的に教えるそうです。つまり「夕ご飯まであとLED4個分」とか、「寝る時間まであとLED2個分」などのようなかんじ。xxまでのカウントダウン形式が重要なそうです。

・「壁掛けタペストリー:窓を隠すため」
患者が思わず窓を開けて外に出てしまわないように、本棚の絵が描かれたタペストリーを壁にかけるそうです。それで、患者が外に出なくなる。と。。。
素朴な疑問として、さっきまであった窓にタペストリーを掛けただけで患者は窓の存在を忘れるの?と思ったのですが、こちらも効果があるそうです。

色々と見ていると、単に物忘れが激しいというよりは、何も知らない赤ちゃんに教える感覚で、再度教えなおす(とはいえ、それを覚えつづけげてくれる保証はない)のが必要なようです。
基本的に、過去の事象はどうでもよく、これからのことが患者にとっては重要なファクターなので、タペストリーや、LEDバーグラフも有効のようです。

正論で考えてもなかなか思いつかない機器が実際に役立っているので、認知症対策機器の開発をするには、認知症患者が集うグループホームに一緒に滞在して現場をみないと良い機器は作れないそうです。