ブリッジ回路(しゃちょ〜)

早速台湾から帰ってきて書き込み。

DCモータ制御回路で、最もメジャーなのがHブリッジ回路です。トランジスタやFETをHの字になるように4個並べて、その間にモータを入れると、モータの正転・逆転の制御が出来ます。
高校生の頃、ホイートストンブリッジという回路を習ったと思いますが、アレです。使い方によって、交流電源を直流電源に変換する整流回路にもなります。要は、対角上にあるスイッチをON/OFFすることで、真ん中に流れる電流の向きが変わるんですね。ダイオードを入れれば整流回路。
なので、ブリッジ回路を使ってモータを制御するのは簡単。と言いたい所ですが、部品選定で割りと苦労します。FETを4つ使う場合、FETには大きく2種類、PチャンネルとNチャンネルというのがあります。
Hブリッジを構築する場合、上段にPチャンネル、下段にNチャンネルを用いるタイプと、4つともNチャンネルで構築する場合があります。
後者であれば、FETを駆動する電源さえ確保(用意)すれば問題なく駆動できますが、前者では、PチャンネルとNチャンネルが、コンプリメンタリである必要があります。要は、全く同じ特性を持つこと。
でないと、正転から逆転に切り替えようと思って対角にあるスイッチを一斉に切り替えた瞬間、スイッチング特性という、微妙な性能の違いによって、一瞬だけ全てのFETがON(流れる状態)になってしまいまい、+から−に、モータを経由せずに一気に電流が流れます。
これを貫通電流といいます。理論上、抵抗を入れずに電源の+と−を接続する状態なので、いわゆるショートしている状態です。ガッツリと電流が流れてしまいます。
頻繁に正転逆転をしないシステムでは、たま〜にしか起きないので、無視しても良いかもしれませんが、ロボットの場合、基本的には正転逆転は頻繁に起きます。特に位置決めなどをすると、目標値近辺では、高速に正逆を繰り返してしまいます。そのままにしておくと、目標値に近づけば近づくほど常に貫通電流が流れている状態になり、ロボットに負荷がかかっていないにも関わらずFETが爆熱になって、10秒ぐらいするとモクモクと煙が出てきます。
イクシスの商品であるiMDs03やiMCs03CLに使われているFETは、Pチャンネルが2SJ471、Nチャンネルが2SK2956というものです。規格表を調べれば分かると思いますが、コンプリメンタルではありません。
ダメじゃぁ〜ん。と思われる方も多いと思いますが、実は我々は、ちょっくらネタを仕込んであります。といっても、残念ながらiMDs03やiMDs03CL側ではなくiMCs01に。
一斉にスイッチを切り替えると貫通電流が流れるのであれば、一斉に切り替えなければ良い。いや、一旦全部OFF(流れない状態)にして、そして必要なところだけONにする。結局は、モータが正転から逆転(その反対も同じ)に変化する場合、一瞬だけiMCs01のPWMを止めています。0%デューティにしています。
なので、iMCs01とiMDs03やiMCs03CLの組み合わせは発熱が非常に少ないんです。iMCs01とセットで使っていないお客様には、FETが熱くなるという報告を受ける場合がありますが、原因はソレです(多分)。CW/CCW(Clock wise/ Counter clock wise:時計回り/反時計回り)ピンを制御する時に、試しにPWMを一旦止めてみてください。